3.オウンドメディアを展開するのに必要なこと



オウンドメディア運用のポイント前回は、オウンドメディアが、なぜ、今、注目されているのかについて説明しました。

広告媒体を考えると、従来なら、テレビやラジオ、新聞などのマスメディアが圧倒的な媒体力を持っていました。そのために、マス広告が強い時代で、大手企業ばかりがマス広告を出していました。

しかし、時代が変わり、生活や価値観の多様性と、インターネットが広がってきたことで、マス広告がそれほど効果がなくなってきています。特にテレビを見ていると、大手企業がスポンサーの冠番組が減り、それまでタブー視されていたパチンコなどのギャンブルの広告が当たり前のように流れるようになっています。

一方、SNSが広がってきた中で、顔の見えない『大衆』ではなく、最初から自社の商品に興味を持ってくれる見込み客を集めることができるようになっています。そのために、単に企業の紹介や自社製品を掲載するだけのホームページから、媒体としてオウンドメディアを運用するように変化してきています。

そして、オウンドメディアは、マス広告のように莫大な広告費がかかることがないので、中小企業でも、個人事業主であっても運営可能になったのです。

0.001%の見込み客が含まれる10万人よりも、自社商品に興味をもってくれる1000人を集めることができるオウンドメディアが注目されるようになりました。
さて、そんなオウンドメディアを展開するために必要なことは、どんなことか考えてみましょう。

文章力だとか、企画だとか、WordPresのスキルだとか、そういうテクニックの話もあるのですが、そういうものは、外注することも可能です。

そこで、ここでは、外注したとしても、自社の担当者や経営者が持っておくべき『チカラ』(スキル)について、3点、考えてみました。

幅広く見るチカラ(俯瞰力)

ホームページに限らず、会社案内や製品案内のパンフレットを作る場合は、どうしても、『売り手側』の視点になりがちです。その結果、開発者や営業担当の説明になってしまって、メディアという視点が抜けてしまいます。

オウンドメディアは、雑誌のように『読者(見込み客)』を想定し、その人たちがどんなことに興味を持ち、どんな悩みを抱えているのかを想像する力が要求されます。具体的に言えば、何ミリ薄くなったとか、カラーバリエーションが増えたとか、そんな説明よりも、上着のポケットに入るようになったとか、今あるものとコーディネートしやすくなったとか、実際に使うシーンでのユーザ目線が必要になります。

『売り手』だけでなく、『ユーザ』、しかも、初めて購入しようとする人、リピーター、他社からの乗り換えを考えている人など、さまざまな『ユーザ』を俯瞰して見ることができるようになると、面白いオウンドメディアになってきます。

分類するチカラ(専門性)

よく専門家という言葉が使われますが、専門家って、どういう人のことを言うのでしょうか?

知識を持っている人、経験が豊富な人、他の人にはできない技術を持っている人、あるいは、国家資格を持っている」人……

さまざまな表現があるかと思いますが、専門家であることの重要なスキルに『分類するスキル』があると思っています。

単に知識=情報量だけであれば、今の時代、ネット検索すれば誰でも専門家になれてしまいます。しかし、実際は、その知識を用いて出来事やモノを分類できることが専門家ではないでしょうか。

分かりやすいのは、医者。

患者さんの「熱がある」、「お腹が痛い」、「咳が出る」といった自覚症状や、診察・検査結果から、病名を判定し、その対処方法を決めます。

このとき、医者の頭の中では、さまざまな病気の中から、どれに該当するのか分類して絞り込んでいきます。

単に「熱がある」という情報も、微熱なのか、高熱なのか、いつから熱があるのか、急に上がったのか、ゆっくりと上がっていたのかなど、分類していきます。

このようなことができるのは、医者の専門性があるからです。

家庭の医学をすべて覚えていたところで、どれに該当するのか分類できないと判断を間違ってしまいます。

同じように、御社の製品やサービスも、専門家であるからこそ、分かりやすく分類することが求められます。

問い合わせるお客さんにとっては、どの製品がマッチしているのか分からないからこそ、専門家としてのアドバイスが必要なのです。

それを見越して、オウンドメディアには、お客さんの抱える悩みや課題を分類し、整理して、どのような課題には、どの製品が最適なのか、どんな悩みには、どのサービスを選ぶべきなのかといった情報を掲載する必要があるのです。

そうすれば、お客さんからすると、キーワードが明確になるので、読みやすく、分かりやすいメディアとして何度も利用することになります。

お客さんが検索するキーワードを決めるためにも、専門性が求められます。

ただし、ついつい、社内のスタッフばかりで話し合っていると、当たり前すぎることを見落としてしまったり、細かすぎる分類になってしまうので、その点には注意しましょう。

誘導するチカラ(構成力)

オウンドメディアを運営する目的は、言うまでもなくビジネスで売上を伸ばすためです。

雑誌や新聞は、発行部数という数値を追求するのは、大きなスポンサーを獲得する、それは、売上に貢献するからです。

同じように、オウンドメディアで、読者を惹きつける魅力的なコンテンツを追求することは、見込み客との関係性を深め、購買率を上げる、売上を伸ばすためにやっています。

ただ、ここで間違ってはいけないのは、読者を惹きつける面白いコンテンツ=購買にはなっていないということ。

いくら面白い、役立つコンテンツを発信していても、本業につながらない情報だとお客さんにはなってくれません。

例えば、芸能人の面白いニュースを発信していても、本業が公認会計士だとしたらどうでしょうか? 芸能人のスキャンダルに詳しい会計士って、頼みたいですか?(笑)

これは極端な例だとしても、じっくりと長くお付き合いできるお客さんを探しているのに、小手先のテクニックや安く・早くできるといったコンテンツを提供していれば、違った客層が集まってきますよね?

どのようなお客さんを集めたいのか、その人たちのニーズがどこにあるのか、そして、それを満足させるためにはどんなコンテンツを発信し続けるのかといった構成を考える必要があります。

やみくもに情報発信するのではなく、ゴール(資料請求、問合せ、購買など)を常に意識してコンテンツ配信しましょう。

今回は、オウンドメディアを運用するために必要な3つの『チカラ』-幅広く見るチカラ(俯瞰力)、分類するチカラ(専門性)、誘導するチカラ(構成力)-について考えてみました。

多くの企業がオウンドメディアの重要性に気が付いて、いざ、やろうとすると、大きなハードルになるので、ぜひ、こういう視点を忘れないようにしてください。

では、次回は、そんなオウンドメディアを運営するのに重要なコンテンツの話、特に、そもそも、どうやってネタ探しをすればいいのか、ネタが尽きていたらどうすればいいのか、について考えてみましょう。

 

「そうは言っても、運用するスタッフがいないし・・・」

そんなお悩みを持つ企業様も少なくありません。掲載する情報はあっても、それを文章にし、掲載するのは、なかなか手間のかかることです。そういう運用全体に関しても、オフィスエムではお手伝いさせていただいています。ちょっとした修正から、企画・運営・管理まで幅広く対応できますので、お困りのことがあれば、ご相談ください。

 

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